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路地裏に迷い込むとそこには、本と寝床のある非日常的な世界が広がっていた

路地裏に迷い込むとそこには、本と寝床のある非日常的な世界が広がっていた

 

【本と寝床、ひととまる】

・兵庫県/豊岡市
・石丸佳祐さん
・本と寝床、ひととまる宿主

埼玉県出身。2年半働いていた会社を退職し、兵庫県豊岡市に移住することを決意。
2年後に「ひととまる」を開業し、丸4年を迎える。

そんなゲストハウスの経営を行っている宿主、石丸さんのstoryを紐解く…

Q:学生時代なにをしていた?

<石丸さん>
学生時代はよく海外旅行に行っていました。海外志向ということもあり卒業論文は『マレーシアのアブラヤシが与える現地社会の影響』という題目を設定して研究に励んでいました。
その論文作成過程においては、現地で知り合った仲間4,5人で学生団体を作り、マレーシアのとある集落に1週間滞在して、フィールドワークを行っていたんです。
(論文を形作る上で、間接的に情報を得る文献研究を使う学生が多い中、直接的に現地の声を聞く手段を学生時代の石丸さんは取っていた。)
あとは仲の良い教授に紹介してもらった社会学の講義(ライフヒストリーの授業)をきっかけに、地方の生活に魅力を感じるようになったんです。(学生時代から海外という大枠にも目を向けつつ、一方で決して大きくはない日本の地方の魅力にも気付いていたのであった。)

Q:なぜゲストハウスを創ろうと思ったのか?

<石丸さん>
もともと地方に住みたいっていうのがあったんだけど、住むにあたって収入がないといけなくて。その収入をどう得ようかを考えたときに、2年半やっていたサラリーマンの現状を踏まえて、個人事業主のような形で商売をやってみたいなと思うようになったんです。
収入を得たいと考えた時に、自分は「なにをしたいのか」、「どうすれば生計が立てられるか」と考えた時に、旅行が凄く好きだったので、それを軸に再考し、行動していったら、なんとなくゲストハウスに行き着き、開業することを決意したんです。

Q:ゲストハウスを創る上で、最も印象に残っている場面、または事件はありますか?

<石丸さん>
今の建物の物件を見つけるのに1年半かかってるんですよ。とにかく物件を探すのが本当に大変。どこでもいいわけでもないし、気に入った物件があってもダメだったりもするし、、とにかくいっぱい悩まされたね(笑)この地域に赴いて1年半、物件が見つかるまでに、そもそも自分のゲストハウスを開業することができるのかどうかの不安はありました。ただただ時間だけが過ぎていくんじゃないかという恐怖感もありました。
実際はここ以外も候補はあって。契約はしたんだけど工事にとりかかった時点で、やっぱり白紙にしてくれと言われて、断念したこともありました。あとは、ここの物件いいな…!と思い、話し合いをしていても、その物件に関わる当事者や当事者の親戚たちの建物に対する熱い想いが存在し、最終的には断られ、本当の涙を流したこともあります。田舎の人は建物に思い入れが凄くあります。都会の人にとっては、田舎はたくさんの土地と物件があって直ぐに借りれるイメージがあると思うんですけど、お店として貸してくれる物件ってなるとうちの地域だと1/10とか、1/20とかになるんじゃないですかね。だから物件探しはほんとにしんどかったですね。

<ハラちゃん>
その地に住む人の理解がないと、立てることが難しいということが分かりますね。

<石丸さん>
そうですね。住むだけだったら歓迎なんですけど、個人の持ち物(建物)を借りて事業(お店の掲げるコンセプトによって、本来の建物から大きく形を変えたりすることもある)をやるとなるとハードルが一気に高くなるんですよね。そういうハードルに直面すると、「何しに来たんだろう…」、「ほんとに開業できるのかなあ…」という不安の中で1年半過ごしていましたね、正直帰ろうかなと思う時もありました。しかし粘って粘ってハードルを乗り越え、今までで一番いい物件に巡り合えることができました。

Q:なぜ "本" にフォーカスしたのか?

<石丸さん>
もともと最初はがっつり交流系のゲストハウスにしていて、1階が飲み屋まではいかないけど、バーほど洒落ていない、その中間みたいな空間で、地元の人とゲスト(宿泊者)が交流できるような環境を作っていました。しかし、やっていくうちにその方法が偶発的だということをが知りました。地元の人が来たら盛り上がるし、ゲスト同士の相性だってあるから、日によって雰囲気の良し悪しの振れ幅が凄くあるんですよ。そう考えた時に、「そんなにみんなガンガン交流したいのかな…」という問いが生まれました。僕自身、人が大好きで地域の方とも仲良くさせてもらっているんですけど、この建物内で繋がるのってちょっと大変だなって思ったのと、また夏は海水浴があるのでゲストも多く来館するんですが、他の時期になると少し減るんですよね。そこで住民目線で考えると、散歩して海を眺めたり、何気ない街の風景(路地裏)が綺麗だったりする。「日常を忘れて、ゆっくり過ごせる場所」があったらいいなって思うようになり、微妙にコンセプトを変えたんです。そこで”本”を取り入れました。とはいえ、地元の人との繋がりや縁ってゲストハウスの良い部分であると思ったので、ただ本を取り入れるのではなく、地域の人がお勧めする”本”、その地に赴いた旅人が置いて行った”本”を通して、地域の風土を感じることのできる空間を創ったんですよね。
今までは対面でしゃべることで感じてもらっていたのを、凄い遠回しにはなってしまうんですけど、”本”を通して感じていただきたいという想いでいます。

━━━━僕自身も交流型のゲストハウスに宿泊する機会が多くありました。宿泊してみて感じたことは、「自分のこれまでの旅の思い出を振り返りたいな…」などといった自分を見つめ直す時間が必要不可欠だなって思ったんですよ。色んな経験を抱えた旅人と交流している中で前半は、「新鮮さ」、「興味深さ」が芽生えるんですが、後半になると「疲れてきたな…」、「一人の空間欲しいな…」って楽しさから生まれる負の側面も多々見つかったんです。

分かりますわかります。ワイワイ過ごしたい人もいるでしょうけど、「ゆっくり過ごしたい人」、ハラちゃんが仰っていた「自分の空間を持ちたい人」向けにうちはシフトチェンジしていますね。

Q:開業するにあたり色んな方と積極的に交流を図っていたほうでしたか?

<石丸さん>
あんまりしてなかったですね。人の話を聞くよりかは、自分の目で見て感じるものがあれば、それを生かしていましたね。最終的にどう考えて、どう突き詰めていくのかも自分次第ですからね。
あとは開業してから気付くことが多いんですよ。お客さんが過ごしている姿をみて、「ここをこうしたほうがもっとよくなるよなあ」って思う箇所をどんどん反映していくような感じですね。

Q:資金面で苦労したことは?

<石丸さん>僕全然お金がなくて(笑)2年半働いていたんで、それなりに貯金があるかなって思っていたんですけれど、意外となくて(笑)あるお金の中で、最大限のことはやったような感じですね。
資金の集め方はいろいろあって、銀行から融資を受けたり、政策金融公庫とか、、今はかなりお金を借りやすくなっているんです。けどあくまでも僕個人の考え方は、借金はしないっていうのが一応のルールであって。だって借金をするとちょっと追い込まれるじゃないですか(笑)だから手持ちのお金を最大限使うと共に、補助金を利用していました。あとは足がでないようにするためにDIYを積極的に取り入れていました。

継ぎ足し継ぎ足しの姿勢

<石丸さん>
僕は最初ドバっと(資金)を使うんじゃなくてちょっとずつ継ぎ足し継ぎ足しで設備をはじめとした投資を行っていました。だから最初から今の形に持っていくとなると、もっと資金が必要だったんだけど、僕の場合はできることをちょっとずつ積み重ねてやってきました。

今後ゲストハウスの開業を目指すハラちゃんにアドバイス

<石丸さん>
そんな偉そうなことをいえるアレじゃないんで(笑)
まあ僕が意識しているのは、自分が楽しくないと続かないなってことで、僕はサラリーマンが楽しくなかったから続かなかったんでしょうから。ゲストハウスも同じで続けていく上で、自分が楽しくないと続かないと思っています。まあ当たり前のことなんですけれど、結構それって忘れがちだなと。だから例えばお客さんが喜んでくれるから「ああしたい」、「こうしたい」と色々出てくると思うんですけど、なんか自分があんまやりたくないことだったら、無理にやらないのは結構大事。そこはワガママでいいのかなって思いますね。もちろん完全には無理で、お客さんの要望に応えなければいけない場面もあるだろうけど、基本は無理しないで、自分がやっていて楽しいことをたくさんみつけることが大事。それをみつけたおかげで一応4年続けることができています(笑)

・ハラちゃんのメモ帳

・物件探しには時間をかけていくべし

今回僕が学ばせていただいたことは、3つあって、1つはまず気を長くして物件を探す、そして当たり前だけど地域のことを知ろうとすること。石丸さんのように現地に住むことによって、地域の特性、街の雰囲気を知ることができ、開業してから良いスタートダッシュが切れると思った。また古民家を使う場合は、「個人の持ち物」を借りる形になるので、まずは家主や地域住民の理解を得ることと、自分の思い描いているゲストハウスのコンセプトを見直す必要がある。まあとにかく物件探しは気を長く…(笑)

・今、自分に何ができるのかを考える

2つ目は今できることを最大限に、お金は最小限に。石丸さんは「最初ドバッと(資金を)使うんじゃなくて、継ぎ足し継ぎ足しで設備投資等を行っている、自分ができそうな箇所はすべてDIYで賄っている」と言っていましたが、聞きながら凄く共感していて、一度ドバッと投資してしまったら、やっていくうちにコンセプトが変わった・お客さんから新たな要望が多々寄せられた・何らかの事情でゲストハウスが営業できなくなってしまった・そもそも始めるまでにかかる総費用(物件費、補修費、家具費、ランニングコスト等)が読めないなどという壁にも直面すると思うので、とりあえずは「今できることを最大限に、お金は最小限に」というのを吸収させていただきました。

・自分がやりたいことを突き詰めて楽しもう

最後に3つ目は、「自分が楽しいようにやること」。これは当たり前のようで、なかなか難しいのではないかと思いました。客足を増やすために、自分を犠牲にしてお客さんの需要に応えていると、仮に長続きしたとしてもどこかで疲れが溜まってしまうと思う。だから自分の好きなことや得意なことをコンセプトにしたり、自分の好きな場所を舞台にすること(それは大きくみて海、山、川、秘境、あっかい場所、寒い場所でもいいし、具体的な地域にフォーカスしてもいいし)が石丸さんのように長く、楽しく続けられるのだと思いました。僕はサーフィンが好きなので海ですかね…(笑)
1時間という滞在時間で以上ことだけでなく、多くのことを学ぶことができました。ひととまる宿主、石丸さん貴重なお話本当にありがとうございました。今後ともどうぞ宜しくお願いします。

 

ハラちゃん

 

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「知識ゼロからでも稼げるようになるノウハウ」 「私生活を柔軟にするノウハウ」を発信してます。 【販売特化の二人組+ブランド経営者】 稼げる未来が見えなくTwitter開始➡始めるも収入4桁で絶望➡ひたすら知識に投資➡売り方、マーケの基礎を徹底的に学び、サウナアパレル会社設立➡今では月収6桁以上に成長。 ブログ、ツイッターにて有益情報を発信中。

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